AGUAフレームワーク
AGUAとは
AGUAという名前は、AIST包括フレームワークの特徴を表す四つのキーワードの頭文字から作られています。スペイン語の「水」という意味を持ち、透明でどんな形のものも包み込むイメージを表現しています。
- AIST-invented: 産総研発の
- Glassbox-nature: グラスボックス化による
- User-oriented system development enabler: 利用者主導での開発を可能にする
- All-in-one framework: 包括的なフレームワーク
A
産総研によって開発された技術を活用した事業展開
ピースミール・テクノロジーは、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)によって開発された技術を活用した事業展開を行うことを許諾された企業として発足しました。
ピースミール・テクノロジーが展開することを許諾されているのは、利用者が主体的にシステム開発に関わるために必要な技術とノウハウの体系で、「AIST包括フレームワーク」と呼ばれています。
このAIST包括フレームワークに基づいて、ピースミール・テクノロジーが独自に商品化したフレームワークが、「AGUAフレームワーク」です。ピースミール・テクノロジーは、このフレームワークを活用したサービスをAGUAフレームワークとして提供しています。
G
開発のグラスボックス化
AIST包括フレームワークの最大の特徴は、システム開発の透明性を高めるところにあります。従来のシステム開発では、開発の進め方、進捗状況、成果物の内容、などの多くは、ブラックボックスとなり、開発を実施している受注企業以外には理解しにくい状態でした。
利用者からは何をしているかわからないために、途中段階でシステムへの要求との乖離に気づきにくく、最終的に思ったようなシステムができてこない原因となっていました。また、他の開発会社にとって開発を実施するのに十分な情報が得られないため、以後の追加開発を最初の開発企業に継続して発注せざるを得なくなってしまう「ベンダーロックイン」が発生してきました。
AIST包括フレームワークでは、業務フローとユースケースを用いたユーザ起点でのトレーサビリティを確保することで、ユーザ目線での開発状況の理解を可能にします。また、オープンソースを始めとする標準技術を用いることで、広くシステム開発に携わる技術者が理解でき、追加開発に参画できるシステムを実現します。
U
利用者主導の開発
AIST包括フレームワークの特徴であるグラスボックス化の目的は、システム開発を利用者主導で行うことを可能にするところにあります。
従来、大規模な業務システムを構築する場合、SI企業にシステム開発の実作業だけでなく、要件の取りまとめから、開発全体のプロジェクトマネジメントまでを一括で請け負ってもらう方式がとられていました。この方式では、発注者はシステム開発の作業に深く関わらなくても、SI企業に全体を委ねていればシステムが完成します。
しかし、システムに対する要求が高度化・複雑化するにしたがって、ユーザ企業の業務に精通していない受注企業には、要件を正しく理解してシステム構築を納期内に作り上げることが難しくなり、開発プロジェクトが破綻することが増えています。そのため、利用者がより主体的にシステム開発に関わる利用者主導の開発が求められています。
システム開発のグラスボックス化は、発注者がシステム開発の状況を把握し、プロジェクトを主導していくために必須の要件です。
A
包括的なフレームワーク
利用者主導の開発のためのAIST包括フレームワークが提唱するのは、発注者側にシステム開発に必要な標準を整備することです。開発に必要な標準として、プロセス標準、成果物標準、プラットフォーム標準を定めます。
AGUAの構成
一般に、基盤プラットフォームと開発プロセスや標準成果物は、密接な関係をもたせないように定めることもできますが、AGUAフレームワークでは、AIST包括フレームワークが目指すグラスボックス化による利用者主導の開発を実現するために、最適な組み合わせを定義しています。
プロセス標準
(AGUA Process)
プロセス標準では、各業務システムを開発する工程として、要件分析、基本設計、開発、保守運用の各プロセスを定めています。最初の要件分析プロセスで定義した業務フローとユースケースを起点にして、業務視点でのトレーサビリティを確立することが重要な特徴です。起点となるこれらの仕様を利用者が理解できるので、システムへの要望を開発者に間違いなく伝えることができるのです。
成果物標準
(AGUA Docs)
成果物標準は、成果物であるソフトウェアや文書の品質を維持するため、それらを作成する際に守らなければならないルールのことです。コーディング規約、命名規約、メッセージ・ログ規約、UI設計ポリシーなどの各規約を定めるとともに、各成果物のテンプレートを提供しています。
プラットフォーム標準
(AGUA Platform)
プラットフォーム標準は、各業務システムの基盤となるアーキテクチャを定め、構成上必要なソフトウェアや開発環境を提供します。主要な構成要素としてオープンソースのライブラリと、仕様が公開されている技術を採用しているところに特徴があります。業務システムの仕様も明確になっているので、元のシステムを開発した業者でなくても十分な技術力があればシステムの更改を行うことが可能になります。
多重請負モデルの限界を越えて
ビジネス環境に合わせた素早いサービス展開が求められる今日では、それらのサービスを支えるITの効率的な実現手段が必要とされています。従来はユーザ企業が一次請けとなるSI企業1社に開発全体を委託し、受注企業は多重請負構造で作られる開発ベンダーのピラミッド型の体制でシステムを実現することが広く行われてきました。しかし、この体制では発注側の意図が末端まで伝達しにくいため、機能漏れや手戻りによる納期遅延やコスト超過が生じやすく、時代にそぐわないものになりつつあります。
ピースミール・テクノロジーが提唱するチェーン型のシステム開発は、複数の開発ベンダーが水平に連なるマルチベンダー体制でシステムを構築するものです。一つ一つの機能について、小回りの効く開発ベンダーが素早く開発を行うので、ビジネス要求を素早くかつ正確に実現することが可能になります。
米国型内製から日本型内製へ
マルチベンダー体制での開発は、システムの内製を行っているユーザ企業では、従来から行われてきたものです。米国では内製が主流であり、多重請負型のSIは日本特有のものなので、内製に転換するべきだという意見を耳にすることも多くなってきました。しかし、米国型の内製を普通のユーザ企業が実施するのは困難です。
規模の大きな開発になると、複数の開発ベンダーのプロジェクトと技術を統制する必要があります。このため、大規模開発に習熟した開発要員を多数内部に抱えなければなりませんが、これまで外部のSI企業に頼ってきたユーザ企業が、その組織を立ち上げることは容易ではありません。また、社員の雇用調整が難しいことも、内部に要員を多数抱える米国型の内製に踏み切れない要因です。
「チェーン型開発」はこの問題を解決し、日本企業に適した内製化を実現することができます。基本的な考え方は、利用者側に標準の開発プロセスと基盤となるアーキテクチャを整備することにより、発注側の限られた開発リソースでシステム開発全体の統制をとることを可能にするというものです。この方式は、これまで札幌市の基幹系情報システムの再構築をはじめ様々な大規模システムに適用され、利用者主導での開発の成功に貢献しています。
チェーンの最初の輪を作る
ピースミール・テクノロジーは、これまでは標準となるプロセスと基盤システムの構築と、発注側のプロジェクト管理を中心に行い、それにもとづく個別システムの開発は実施してきませんでした。チェーン型の開発を効率的に導入するためには、一つ目の輪となる開発をスムーズに実施することがキーになりますが、開発パートナーによっては、ここでつまずいてしまう場合があります。
発注側の標準とその統制の進め方を熟知したピースミール・テクノロジーの技術者によって、チェーンの最初の輪を作ることで早期に開発ノウハウ蓄積し、その展開によって以降の他のパートナーによる開発をスムーズに進めることを可能にします。
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